膝の痛み

膝関節は身体の中でも大きな関節とされ、歩行や階段の上り下り、しゃがむといった基本動作を行う際に身体の重さを支えています。
膝は脛骨（すねの骨）、大腿骨（太ももの骨）、膝蓋骨（膝の皿）の3つの骨から形成されています。

さらには膝の動きを作る筋肉、靭帯や関節包、脂肪体や半月板などで構成され身体の重要な役割を担っています。

●股関節や足首の運動量の低下

膝だけで動くことは非常に少なく、股関節や足首の関節と共に活動しています。
その際に上下の関節の動きが低下すると膝に必要以上に負担がかかってしまいます。

 

●筋肉の柔軟性や筋力の低下

大腿四頭筋（もも前の筋肉）が縮みハムストリングス（ももうらの筋力）が伸びることで膝を伸ばす行動ができます。
どちらかの筋力や柔軟性が低下すると膝に負担がかかり痛みが生じる事もあります。

さらにはお尻の周りの筋力低下や足首の不安定性で側方への負荷がかかり痛みを出してしまいます。

 

●関節内構成体の機能不全

前述したように膝の内部にはさまざまな組織が存在します。
その組織も膝の動きに伴い膝の中を移動します。
その際、何らかの原因で動きに制限がかかり痛みを発する事も多く見られます。

 

●膝の位置のズレや動作のずれ

О脚やX脚の場合、正しい位置から変わると負担がかかります。
見た目は普通でも膝を曲げると膝が内側に入ったり（knee-in）、外側に逃げたりしてしまう方（knee-out）は膝に一定の負担がかかり痛みが出やすい傾向にあります。
また、座る際に足を組むことでお尻のまわりは硬くなり、内ももの筋力は低下しやすくなります。

 

●関節液の問題

関節液の減少によって関節の動きがスムーズに行えなくなり、痛みを生じる場合があります。
関節液は関節包内を循環しています。
循環を促すには、膝の運動による刺激が必要です。
運動する機会が少なくなると関節内での循環は減少してしまい、膝に不要物がたまり炎症が起こってしまうのです。
変形性膝関節症や関節内水腫（かんせつないすいしゅ）の原因になるといわれています。

 

●変形性膝関節症

年齢を重ねていくことで膝の軟骨がすり減り、関節に変形を起こす症状とされます。
歩行時や曲げ伸ばしでの痛みや関節部に炎症を伴うこともあり、中高年の方に多く日本での罹患数は800万人といわれています。

膝の痛みは病気によるものとそれ以外の理由から起こるものがあります。
ここでは、膝の痛みの症状についてご紹介していきます。

●半月板損傷

半月板は、膝の関節内部にある軟部組織であり、膝の動きを安定させる関節の補助の役割を果たしています。
運動でのケガや加齢により半月板を損傷してしまうと、膝を曲げる際挟まれるような痛みや、ズキッと鋭い痛みが出る場合があります。
前述したように膝が内側に入ったり（knee-in）、外側に逃げたりしてしまう（knee-out）状態で運動を続けることも半月板に負担をかけ続ける事になります。

 

●病気以外で膝に痛みを出る場合

膝の痛みは変形性膝関節症や半月板損傷以外にも、日常生活や身体の使い方によって起こるものもあります。

加齢による筋力低下や、姿勢が悪く「脚」「膝」「股関節」のバランスが悪いことで間違った身体の使い方をしてしまうと膝に負担がかかり、痛みを出すことが多いとされています。
また、肥満や急激な体重増加も、膝を支える力を超える負荷がかかってしまうため同様の痛みを出すことがあるとされています。

膝の痛みは時に炎症を伴い、動けなくなってしまうものもあります。
そのため、痛みの度合いに応じて適切な対処をすることが、その後の回復に要する期間にも影響を与えます。
ここでは、膝の痛みへの対処法についてご紹介していきます。

●ストレッチ

軽い痛みであれば「足の裏」「ふくらはぎ」「太ももの裏」「股関節」などをストレッチしましょう。

・ストレッチ①

①床に座わり足を伸ばします
②手でつま先を持ち手前に引く

ふくらはぎから太ももの裏をストレッチできます。

・ストレッチ②

①仰向けになり片方の膝を90度曲げます
②曲げた膝を反対方向に倒して身体をひねる

お尻から太もも裏の筋肉を伸ばせます。
これらのストレッチを行うことで、膝を動かす主な筋肉の緊張をほぐすことができ、痛みを軽減する効果が期待されます。

 

●マッサージ

膝を軽く曲げた状態で膝のお皿全体を軽くつかむように持ち、円を描くように回すことでお皿まわりの筋肉をマッサージします。
立った状態でお尻を引き太ももを揺らすことも疲労回復に良いです。
また、体育座りのような姿勢でふくらはぎや太もも裏の筋肉を震わせるようにマッサージすることも効果的です。

●運動する方へ

スポーツは繰り返し大きなストレスが膝にかかります。
当院でも靭帯断裂後、通常のプレーが出来るようになるまでお付き合いした方が沢山いらっしゃいます。
大きなケガをすること無く、過ごしていただくためにコンディショニングをしっかり行ってください。

 

●一般の方へ

膝の痛みが出て少し調整して通院がすぐ終わる方はとても多くいらっしゃいます。
しかし、痛みが出て放置し動作不全を起こしたり、半月板の手術をされ長期に療養している方もいらっしゃいます。
できるだけ早く、医療機関にかかりましょう。
大したことなかったで終わることはとても大切な事です。